とはいえ、実は通常は運用中のIT機器の消費電力量を正確に知る手段は揃っていないのが現実だ。NCMでは、クランプメータを利用した電流量測定など、いろいろな手法を試したが、満足できる結果が得られるものがなく、最終的にラリタンのDominion PXに行き着いたという。
同社通信事業部 課長 川島 勝也氏は 「同様のラック用PDU(Power Distribution Unit)で消費電流量の測定機能を備えた製品も市場には存在しますが、それらはPDU全体での消費電力量を測定するものばかりで、口ごとに個別に測定できる機能を備えた製品は他に見つからなかったのです」と語る。
ラックごとの消費電力量が契約上限値を超えないようにするためには、ラック全体での消費電力量が分かっていれば充分だという認識もあるが、実運用を考えた場合はそれでは機能不足である。
「上限を超えるかどうか、試しに繋いでみれば分かる、という考え方は、自社設備であれば通用するかもしれないが、外部のデータセンタ等を利用した環境では難しい。Dominion PXのような個別測定の機能があれば、機器ごとに実際に消費する電力量を正確に把握することができるため、ラックごとの消費電力量を平均化するといった作業も可能になります。機器を実際に入れ換える前に、入れ替え後のラック全体での消費電力量を予測できるので助かります」
効率的な機器配置でコスト削減も
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| 各ラックにマウントされたDominion PX。二重化するため両側にそれぞれ設置されている。 |
NCMでは、コロケーション先での電力量の管理に加え、「機器更新の際のサイジングの効率化にもDominion PXが報告する実電力消費量のデータを活用し、コスト削減を実現した」という。NCMでは機器更新のタイミングに合わせてUPSの入れ替えも行ない、従来のラックごとの個別のUPSから、集合型で長寿命の新世代UPSへと移行している。この際に問題になったのが、UPSの給電能力の設定である。当然ながら、UPSは大電力を供給できるものほど大型になり、価格も高くなる。大電力供給に対応する機種を用意しておけば安心だという考え方もあるが、必要以上に大型の機種を用意するのは無駄な投資でもある。
UPSのサイズを決定する際には、通常は保護対象となるIT機器のカタログに記載された消費電力量を基準とする。しかし、実際にはこの値は最大消費電力量であることが大半であり、実運用では通常もっと低い値になっているようだ。川島氏は「Dominion PXを使って平均的な実消費電力量を測定し、必要充分なUPSを選定しましたが、もしカタログ値ベースでサイズを決めていたら現行より容量が大きい機種が必要でした。当然コスト高になっていたわけです」と語る。
電力消費量の緻密な管理は、電力コストの削減に直接的に役立つことは明らかだが、UPSを始めとする電源設備や冷却能力など、ファシリティのサイジングを考える際にも重要な要素となる。NCMで実際に成果を挙げているとおり、実使用量を正確に把握し、そのデータを踏まえて設備の最適化を行なえば、データセンタ全体の運用効率を高めていくことが可能になる。そのために正確な実測データを提供できる点が、NCMにも評価されたDominion PXの特徴的な機能である。