ラックPDU (電源タップ)はIT機器用のラックに取り付けられ、サーバ、ルータ、ファイアウォールなどの各種ITデバイスに電源を供給します。今日では、PDUに用意されている多数の構成オプションをデータセンタの電源管理に役立てることができます。ここでは、PDUの基本的な種類の概要、メリット、デメリットについて説明します。
ラックPDUの種類
- ベーシックPDU
- 概要: ベーシックPDUは、クリティカルな環境で使用される高品質コンポーネントから構成される電源ストリップです。一般に、これらのPDUは、適切な電圧と電流を複数のコンセントに供給できます。
- メリット: 基本的で、求めやすく、実績のあるテクノロジ。
- デメリット: 計測器がなく、どのレベルにおいても管理できない。
- メータ付きPDU
- 概要: メータ付きラックデバイスは、通常は電源を通過する電流をPDUレベルで測定し、その値をローカル表示します。一部の高性能モデルにはユーザが定義できるアラーム機能が搭載され、PDUレベルの測定データにシリアルポート経由またはネットワークポート経由でリモートアクセスできます。
- メリット: PDUの電流をリアルタイムに監視できる。一部のPDUでは、ユーザがアラームを定義し、電源回路の過負荷が生じる前にその可能性をIT担当者に通知できる。
- デメリット: ほとんどのPDUは情報をローカル表示するのみで、重要な環境データや、コンセントレベルでの監視またはスイッチング機能を提供しない。
- スイッチ付きPDU
- 概要: スイッチ付きPDUは、個々のコンセントのオン/オフを制御し、負荷をPDUレベルで測定します(前述のメータ付きPDUを参照)。一般に、これを使用することで、ユーザはデバイスの電源オン/オフをリモート環境から切り替え、電源シーケンスの遅延を適用し、一部のコンセントの使用を管理できます。
- メリット: リモート電源オン/オフ機能、コンセントレベルでのスイッチング、シーケンスによる電源投入。
- デメリット: 温度と湿度を監視できない。提供される情報とサポートされる機能に制限がある。
- インテリジェントPDU
- 概要: インテリジェントラックPDUは、WebブラウザまたはCLI(コマンドラインインタフェース)を通じてリモート制御できます。PDUレベルと個々のコンセントレベルの両方で電源を測定し、ユーザ定義のしきい値に基づくアラート送信をサポートします。また、強力なパスワード、認証、承認、暗号化によってセキュリティを確保し、豊富な環境管理機能を提供します。高度なカスタマイズが可能で、SNMP TRAP/SET/GET、IPMI、SMASH CLPなどの業界の最新標準に基づくテクノロジをサポートします。また、LDAP、Active Directory®、RADIUS、NFSサーバなどの企業の既存インフラとシームレスに統合できます。
- メリット: WebブラウザまたはCLIからリモートアクセスできる最新式デバイス。スイッチ付きPDUの全ての機能(リモート電源オン/オフ機能、コンセントレベルでのスイッチング、シーケンスによる電源投入)のほかに、リアルタイムの環境データ、標準ベースの管理、既存ディレクトリサーバとの統合、高度なセキュリティ、および豊富なカスタマイズオプションが利用できる。
- デメリット: 機能セットが大幅に強化されており、ベーシックPDUやメータ付きPDUと比較してコストが高い。
インテリジェントラックPDUの利点
ラリタンのインテリジェントPDUファミリであるDominion PXは、コンセントレベルとPDUレベルの両方で電源をリアルタイムに監視し、コンセントのリモートスイッチング機能と、ラックの温度および湿度監視機能を提供します。これらの製品の使用により、IT管理者と施設の管理者は、システムの稼働時間と従業員の生産性の改善、電源リソースの効率的な使用、より賢明な容量計画の立案、およびエネルギー効率の改善による電力とコストの削減が可能となります。測定機能も用意されており、環境にやさしいデータセンタへの足掛かりとして利用できます。
- 稼働時間と従業員の生産性の向上
- ユーザが設定できるしきい値と、電子メールやSNMPによるアラート通知を利用して電源をPDUレベルで管理することで、潜在的な問題を発生前に特定できるようになります。
- Webブラウザを利用して世界中のどこからでもサーバとIT機器をリモート再起動できるので、稼働時間と生産性を向上できます。
- 電源リソースの効率的な活用
- 電源シーケンスのコンセントレベルでの遅延をユーザが構成できるので、突入電流によってIT機器への電力供給が遮断されることを防止できます。
- 通常状態ではコンセントからの電源供給を遮断し、必要時にのみ電源を供給することで、既に高負荷がかかっている回路にIT機器を常時接続する必要をなくし、電源ブレーカーが遮断されるリスクを回避できます。
- 十分な情報に基づく容量計画の策定
- データセンタの電力不足が考えられるような場合でも、コンセントレベルの監視に基づいてIT機器の簡単な再配置を行い、ラック内の電力需要のバランスをとって電源リソースの制限を解消できます。
- PDUレベルの監視によりしきい値を簡単に設定できるので、電源回路の限界が近づいたときにそれを確実に把握できます。変更が必要な機器をコンセントレベルの監視によって特定し、安全な状態を定常的に維持できます。
- データセンタの再配置を行うと温度の予期せぬ変化が生じることがあるため、温度の検出と環境プロファイルが重要になります。たとえば、空調機器を追加したとしても、エアフローパターンの変更により、一部のラックは冷たい風で冷却されるものの、それ以外のラックの温度は空調機器の追加前より実際には上がってしまうことがあるため、この情報の検出のみのためにサーバルームに空調機器を追加することはあまりありません。
- 電力とコストの節約
- コンセントレベルの電源監視と傾向の分析を組み合わせることで、個々のサーバを監視できます。常にピーク電圧の30%以下で稼働するサーバは、仮想化または廃止の検討対象となります。
- 電源オン/オフのリモート切り替えによって、IT管理者は停止中またはクラッシュしたサーバおよびIT機器を迅速に再起動できます。また、サイトに出向くコストがかからなくなるため、コストの節約になります。
- 環境にやさしいデータセンタへの足掛かり
- データセンタでは、IT機器を冷やしすぎてしまうことがよくあります。過度な加熱状態は、確かにIT機器の寿命を縮めたり、故障の原因となったりしますが、装置を過度に冷却しても装置の寿命が長くなることはなく、エネルギーが無駄になるだけです。データセンタの管理者は、温度センサと湿度センサを利用して冷房と加湿器の設定を最適化し、エネルギー効率を改善できます。